本人が行動しなければ良い結果は得られないということを、肝に銘じて下さい。弁護士に丸投げせずに、地代値上げ交渉の各ステージ(値上げの検討・借地人との話し合い・前置調停と地代増額請求訴訟)に、積極的に取り組む気構えを持ってください。
裁判所外での値上げ交渉(※1)がうまくいかない場合の次なるステップは、裁判所での前置調停(※2)です。調停が不成立の場合は訴訟に移行しますが、この調停・訴訟を地主本人でやることも可能(※3)ですが、裁判作法を知らない素人を相手にすると時間と手間のかかる(※4)ことが懸念されるので、裁判所は露骨にイヤな顔をして「弁護士をつけなさい」と要求することもあります。
(※1)地代の値上げの申し入れは口頭でもよいが、後々のことを考えると配達証明付郵便で書類を送付するのがよいでしょう。
(※2)裁判官1名と調停委員2名で組織された調停委員会が、地主と借地人の間に入りソフトランディングによる解決を図ります。
(※3)本来、裁判は素人でもできることになっており、それが法制度の建前です。
(※4)調停・訴訟では裁判所に申立書・訴状・準備書面を提出しますが、これらは多岐に渡る煩わしい形式に当てはめて書面を作成しなければならないので、素人では大変なエネルギーが必要です。
職業的専門家(弁護士・裁判所等)と素人(地主等)の間の潤滑剤の機能を果たす機関の必要性から大阪相談所の立ち上げに至った次第です。
次回からは地代値上げ交渉の各ステップにおいて、地主本人がどんな事項に積極的に取り組まなければならないのか、それは何故なのかを具体的に説明していきたいと考えています。
また大阪相談所のWebサイト末尾の掲載論文欄には「借地借家法の入門講座」を連載する予定ですので、お目を通していただければ幸いです。(文責:五島)