最近、居住用を中心に、平家建がちょっとしたトレンドになっているようです。
ネット上でも、平家建をアピールした建物広告を目にする機会が多くなりました。これは、少子化の影響等により家族構成が変化していることや、ミニマリストといった最近耳にすることの多いトレンドワードにも象徴されるように、必要以上にモノを貯めこまないという生活スタイル、つまりは「必要以上の部屋は不要」と考える世代が増えていることも関係しているように思われます。
一方、商業地に関しても、例えばアーケード商店街の場合には、トレンドというよりも、アーケードという構造上の特性により、容積未消化の建物が最有効使用※となる場合が考えられます。
不動産鑑定士にとっては、容積率を目一杯消化している建物の方が経済合理性(不動産鑑定士が考える経済合理性)に適うというのがこれまでの常識であったと思われます。
しかしながら、建築費を含めた物価高騰や人件費の上昇、ビルの管理等に必要な人手の不足といった社会経済情勢の変化を考えると、場合によっては都心部ですら、必ずしも容積率を目一杯消化した建物が最有効使用になるとは限らないケースもあり得る、そういう時代になりつつあるのかもしれません。
※一般の方はまず使用しない、おそらく専ら不動産鑑定士が使用する言葉です。最有効使用について不動産鑑定評価基準では次のように定義されています。
「不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。」(文責:杉若)